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「図面が読めないまま、施工管理として入って大丈夫なんだろうか」——そう思って検索したあなたが本当に確かめたいのは、図面の読み方そのものではないかもしれません。
「知りません、教えてください」と言っても許される場所なのか。たぶん、そこだと思います。
私は35歳・異業種・未経験で施工管理の現場に入りました。建築の学校を出ていないので、入ったときの図面の知識はゼロでした。
「図面読めないの?」という圧を感じたことは、入社してから一度もありません。ただし、向こうから0を100まで教えてくれるわけでもありませんでした。
この記事では、図面の読み方の教科書ではなく、建築の素地がゼロの未経験が、現場で実際にどの順番で図面を覚えていったかを書きます。結論を先に言うと、最初にやるのは「読む」ことではなく「分ける」ことでした。CADも、最初から使える必要はまったくありませんでした。
図面が読めないまま施工管理に入って大丈夫?——結論、大丈夫です
大丈夫です。ただし「大丈夫」の中身を、私は最初から勘違いしていました。読めるようになるまで我慢する仕事だと思っていたのですが、実際は「読めないまま仕事をしながら、少しずつ地図ができていく」という進み方でした。
そもそも未経験のうちは、自分で図面を描くことは求められません。まずやるのは、現場で起きていることと図面が合っているかを確認し、記録し、関係者に伝えることです(施工管理の一日の流れは施工管理の一日の流れ|未経験1年目のスケジュールで解説しています)。
だから最初に必要なのは、1枚の図面を隅々まで読む力ではありませんでした。必要だったのは「その情報はどの図面に書いてあるか」を当てられることです。
筆者の実体験|35歳、未経験で施工管理へ
入る前の私は、ひとつの建物に対して図面は1枚だと思っていました。実際は、設計図・施工図・床伏図・平面詳細図・製作図……と、たくさんの図面で成り立っています。
最初に「分からない」と感じたのは、記号や縮尺のような細かい話ではありません。それぞれの図面に何が書いてあるのか、その図面を見ると何が分かるのか、どういうときにどの図面を見るのか——という大枠が分からなかったのです。
ここが、多くの解説記事とズレているところだと思います。世の中の「施工図の読み方」は、1枚の図面をどう読み解くかを教えてくれます。でも未経験がつまずくのは、その手前の「図面って何種類あるの?」という段階でした。
現場の図面は「誰が作るか」で4つに分かれる(覚え方の地図)
私が現場で覚えていった整理の仕方が、これです。図面の中身ではなく「誰が作るか」で分けると、一気に見通しが良くなりました。
| 大分類(誰が作る) | 種類 | そこに何が書いてあるか |
|---|---|---|
| 設計図 設計事務所が作る |
建築図・意匠図 | 間取り、仕上げなど目に見える部分。法律に関すること。建物が建った後も目で見られるもの |
| 構造図 | 建物の骨組みに関する図面。建った後は見えなくなるもの | |
| 製作図 業者が作る |
各業者が作図 | 鉄骨図、建具、金物、サイン、トイレブースなど |
| 施工図 施工者(施工図担当者や施工管理)が作る |
各部の詳細図 | 施工するための詳細な図面(床付図、床伏図、平面詳細図、トイレ詳細図、天伏図など) |
| 仮設計画図 作業所の施工管理が作る |
総合仮設計画図 | 基礎、鉄骨、仕上の全体計画 |
| 工区割図 | 工種ごとの区分け | |
| 外部足場計画図 | 建物の外側にかける足場の計画 | |
| 内部足場計画図 | 建物の内側で使う足場の計画 |
ここに出てくる図面の名前を、いま全部覚える必要はありません。「4つのグループがあって、それぞれ作る人が違う」——まずはそれだけで十分です。
この分け方が頭に入っていると、たとえば「この部屋の仕上げは?」と聞かれたら意匠図、「この梁の大きさは?」なら構造図、「この建具の詳細は?」なら製作図——と、探しにいく先の見当がつくようになります。
図面を読めなくていいんです。まずはどんな図面の種類があって、それを見ると何が分かるのかを知っておくと、自分の仕事がぐっと楽になります。
もうひとつ、この表で伝わるといいなと思っているのが、仮設計画図は「作業所の施工管理が作る」という点です。図面は全部どこか偉い人が作って降りてくるもの、ではありません。未経験で入った自分も、いずれ作る側に回ります。
未経験はどう覚える?私は「施工写真」から図面に遡りました
覚え方として一番再現しやすいと思っているのが、自分に振られた仕事を起点にして、図面へ遡っていくやり方です。私の場合、その入口は施工写真の撮影でした。
筆者の実体験|私が図面を覚えた順番
大きな現場だったのでグループに分かれていて、私のグループには先輩社員が一人いました。教えてくれたと言っても、0から手取り足取り教わったわけではありません。
「この施工写真、撮っておいて」と言われる。すると自分で、①どういう写真が必要か → ②写真黒板に何を書けばいいか → ③その基準はどの図面のどこに書いてあるか、と順番に聞きにいくことになります。その繰り返しでした。
あとは、どんな業者さんがどの図面を見ているかを見たり、職長さんと現場で話をしたりするなかで、本当に徐々に覚えていきました。
この順番が良かったのは、「図面の勉強」ではなく「今日の自分の仕事」から始まっていることです。写真1枚を撮るために図面を1か所だけ見る。これを繰り返すと、「この情報はこの図面にある」という結びつきが、実感つきで残ります。教科書を最初から読む勉強法より、はるかに定着しました。
ちなみに、写真撮影や資材の準備は「雑用」に見えて、実は品質記録そのものです。このあたりは施工管理補助と施工管理の違いで詳しく書いています。
「今さら聞けない」になる前に聞くのが得
もうひとつ、未経験のうちにやっておいたほうがいいと思うことがあります。
筆者の実体験|聞き方と、教わる側の作法
こちらが受け身で、あちらが0から手取り足取り教えてくれる、という意味ではありません。「初めてなので教えてください」という姿勢で聞けば、教えてくれます。
ただ、2年目・3年目になると「今さら聞けない」ことが増えてしまいます。だから未経験者といえるうちに、いろんなことに興味を持って教えてもらうのがいいと思います。
教えてくれる人の時間をもらうことになるので、そこはいつも念頭に置いていました。当時の先輩は、こちらが1つ聞くと、その答えだけでなく「どう考えればいいか」「この先はこうなっていくよ」というプラスの情報まで教えてくれる人でした。なので私は、その分その人からの依頼は多少の無茶ぶりでもしっかり対応して、教えてくれる時間へのお返しのつもりで仕事をしていました。
「聞ける空気があるか」は、未経験にとって図面の知識より大事かもしれません。現場の人間関係が実際どうだったかは施工管理の人間関係は本当にきつい?怒鳴られた2回の真相と、逃げていい基準に書いています。
CADは使えないとダメ?——実務で見るのは、ほとんどPDFです
ここは、調べても本当のところが出てこない部分だと思います。検索すると「施工管理もCADを勉強したほうがいい」という記事が並びます。ただ、書いているのはCADのスクールや人材サービスであることが多く、現場で実際にどう使われているかまでは書かれていません。
私がいた現場での実態は、こうでした。
筆者の実体験|CADは、入る前に習う必要はなかった
図面はCADで書かれていますが、業者さんや施工管理がよく見るのは、PDF化された図面です。だいたいは施工図の担当者がいて、その人がCAD図をPDFにしてくれるので、簡単に印刷したりPCで見たりできる状態になっています。
なので、最初からCADが使える必要性は、まったくないと思います。私が入ったときのCADは「少し使い方が分かる」くらい。Excelで言えば、表を作るために罫線を引くとか、SUMやIFくらいの簡単な関数が使えるくらいのレベルです。
では、どこでCADを触るようになったのか。きっかけは、自分から手を挙げたことでした。そして、いまはどこまでできるのか。ここは正直に書きます。
筆者の実体験|CADを触った第一歩と、いまできること
工事に直接は関係ない、いわゆる仮設工事と言われるものなのですが、工事期間中の作業員用の駐車場をライン引きすることになりました。それを「やらせてください」と言ってみたんです。そこでCADで図面をいじって、測量業者さんに渡して一緒にやってみたのが第一歩でした。
その後もいまだに、0から自分で図面を書くことはできませんし、その機会もありません。
ただ、「ここの寸法が知りたい」と現場から言われたときにどの図面のCADを開けばいいか分かるし、寸法を知ることもできます。あとは図面をいじって、「この図面の部屋名だけ無くした図面が欲しいな」というときに、部屋名を削除した図面を印刷できる——そのくらいはできるようになりました。
つまり施工管理にとってのCADは、「描くための道具」ではなく「調べる・少し加工するための道具」でした。入社前にスクールに通うより、入ってから必要になった場面で覚えるほうが、順番として自然だと思います。
どれくらいで読めるようになる?ゴールは「当たりを付けられる」まで
期間の感覚も書いておきます。
筆者の実体験|覚えるまでにかかった期間
半年もすれば、さきほどの表に書いてあることは覚えます。
ただ、工事はどんどん進んでいきます。たとえば製作図の鉄骨製作図を見られるようになっても、すぐに建具の製作図を見るようになったりします。やっていることの構造は同じでも、見ている図面自体は変わるので、やっぱり最初の1現場目は、全部が新しく覚えることばかりでした。
ちなみに、いまも完全に見られるとは言えません。けれど「◯◯ってどうなってる?」と聞かれたときに、どの図面のどの部分にそれが書いてありそうか、当たりを付けることはできるようになりました。
ここが、この記事でいちばん伝えたいゴール設定です。「全部読める」を目指すと、いつまでも合格点に届きません。目指すのは「どこに書いてありそうか当たりが付く」状態で、そこまで来れば仕事は回ります。現場を4年経験した私でも、いまだにこのレベルです。それを知っておくだけで、1か月目の絶望感はかなり変わるはずです。
結局いちばん大事なのは「教えてもらえる環境かどうか」
ここまで読んで気づいた方もいると思いますが、私がやったことの大半は「聞く」です。そしてそれが成立したのは、私の努力というより体制のおかげでした。グループに先輩社員が一人いて、聞ける相手が物理的に近くにいた。ここは、正直に言えば運です。
逆に言うと、同じ「未経験歓迎」でも、教える体制があるかどうかで1年目の消耗はまったく変わります。図面を教えてくれる人が社内にいない現場に一人で放り込まれたら、素直に聞く姿勢があっても行き先がありません。ここは自分の努力ではどうにもならない部分なので、入る前に確認しておく価値があります。
求人票からは読み取れないので、確かめるならこの2つだと思います。
- 自分と同じ仕事をする人が、その現場に何人いるか——分からないことを聞ける相手がいるかどうかに直結します
- いま未経験から入った人がどのくらいいるか——「育てる文化」があるかどうかが、数字で見えます
ただ、正直に言うと、この2つは面接の場ではいちばん聞きにくい質問でもあります。採ってもらう立場で「ちゃんと教えてもらえますか」とは、なかなか言い出せません。
私は運よく聞ける先輩がいましたが、それは入ってみるまで分からないことでした。入る前にここを確かめられていたら、もう少し安心して初日を迎えられたと思います。
こういう「聞きにくいけれど、いちばん知りたいこと」は、間に人を挟むと角が立ちません。
聞きにくい2つは、転職エージェントに代わりに確認してもらう
誰が使うべき?建築の学校を出ていない/教えてもらえる環境かどうかを求人票から判断できない/働きながら探す時間がない人。
使うと何が変わる?上の2つを、応募前に代わりに聞いてもらえます。同じ「未経験歓迎」でも、育てる体制のある未経験歓迎なのかどうかが受ける前に分かります。
選び方は?現場の体制の話がそのまま通じる建設特化を選ぶこと。総合型だと業界事情の説明から必要になります。全国対応のビルドジョブなら相談は無料で、「図面が読めない未経験でも受け入れている現場はありますか」と聞くところから使えます。
求人票のどこを見て絞るかは、施工管理に未経験からどうやって入る?求人の探し方は「譲れない条件3つ」からにまとめています。教育体制を含めたブラック回避の確認方法は施工管理のホワイト企業の見分け方のほうが詳しいです。
まとめ:読めなくていい。まず「分ける」ところから
図面が読めないまま施工管理に入っても、大丈夫です。最後にもう一度、順番だけ整理します。
- 読む前に分ける——設計図/製作図/施工図/仮設計画図。誰が作るかで4つに分けた地図を先に持つ
- 自分の仕事から遡る——施工写真のような目の前の仕事を起点に、必要な1か所だけ図面を見る
- 未経験のうちに聞く——2〜3年目になると聞けなくなる。教わる時間へのお返しもセットで
- CADは後でいい——実務で見るのはPDF。必要になった場面で覚えれば間に合う
- ゴールは「当たりが付く」まで——全部読めるを目指さない。半年で地図が入り、そこから先は現場ごとに更新していく
建築の学校を出ていない35歳の私でも、こうやって覚えました。図面が読めないことは、入らない理由にはなりません。
ちなみに、同じ「持っていないこと」への不安でよく並ぶのが資格です。こちらも結論は図面と同じで、持っていないことで現場の扱いが変わることはありませんでした(→ 施工管理技士の資格が取れないとクビになる?資格なしの扱いと手当の実額)。
そのうえで、たったひとつだけ入る前にやっておくとしたら——それは図面の予習ではなく、「そこは未経験に図面を教えてくれる会社か」を確かめることです。
建設・施工管理に特化したビルドジョブの無料相談で、「未経験者の教育体制はどうなっていますか」と聞いてみるところからで大丈夫です。転職を決めていなくても、実情を知るだけの利用でかまいません。


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